始まりの夏
突然の杏ちゃんの告白に、私は目を丸くした。
杏ちゃんは社長であるGにセクハラを受けているという。
杏ちゃんと私は部署が違うため、朝の清掃時しか話す時間がない。
詳しい話を聞こうにも、セクハラ加害者であるGが出社してきてしまったため、話は中断されてしまうことが多々あった。
杏ちゃんは同じ部署の先輩社員から
「1人にならない方がいいよ」とか
「最近の社長の顔ヤバいよ」などと
不安を煽られて、1人で追い詰められていってしまった。
そして、先輩社員は
「このこと、Bさんに相談しなよ」
と杏ちゃんをけしかけた。
BさんはセクハラGの親族である。
しかし、これこそがBの罠であり
杏ちゃんを唆した先輩社員達は
実はBのスパイだった。